白んだ空、胸は明かず

Twitter:@siramune

長門有希はヒツジの夢を見るか。

これまでハルヒキョンについて書いてきたので、次は長門かな、と…。

(二番煎じにもほどがあるタイトルだな…。中身もそうだけど…)

 

長門有希は「情報統合思念体」という高度な知的生命体によって生み出された対有機生命体ヒューマノイドインターフェースです。

目的は涼宮ハルヒを観測し、自立進化の可能性を探ること。

 と、なっています。

 

しかし、長門の、思念体の目的って本当にそれだけなのでしょうか?

長門の親玉である思念体は地球どころか、宇宙全体で起こっている全事象を観測できてしまう規格外な存在です。

だから、ただ単純にハルヒを観測するだけなら長門や朝倉といった端末を地球に送り込む必要なんてありません。

 逆に、ハルヒを刺激してしまったりして予測不可能な事態に陥る可能性が高まってしまいます。

 長門を地球に送り込んだのは「主流派(主に観測をし、自律進化の可能性を模索する)」なのだから、ハルヒを刺激する必要はほとんどありません。

さらに、ハルヒと接触し、可能性を模索することが目的なのであれば3年間も自室に籠っている必要はなかったように思えます。

 

まあはっきり言って、長門には観測すること以外の、別の役割があります。

その根拠を以下で述べようと思います。

 

まず、長門は「涼宮ハルヒの憂鬱シリーズ」を通して、だんだんと感情を表していくようになります。それはキョンのモノローグや団員のセリフから察することができます。物語が進むにつれて、キョン長門に対して「こいつの感情がわかるようになってきた」という感覚を抱いています。さらに古泉やハルヒも同様の感覚を味わっています。(もちろんキョンや古泉、ハルヒ自身が長門と接触していくにつれて長門の微々たる表情変化に慣れてきたというのもあるでしょうが)

次に、キョンは度々長門の性格について「どうしてこんな不器用な性格でなきゃならないんだ」という思いを抱いています。特に顕著なのは「消失」ですね。

「消失」において、キョンは「この長門有希にもっとまともな性格を与えることだってできただろうが。(中略)なんだって一人寂しく部屋に閉じこもって本だけ読んでそうな欝な娘を設定しやがったんだ」と述べています。

さらに、谷口流の書き方の特徴として、伏線は明確にしておくという特徴があります。

以上のことから考えるに、長門の本当の目的とは「自らの感情を発達させること」だと考えられます。

 

長門ハルヒキョンたちと接触して、自らの感情を発達させます。

(「消失」において、長門はこれら感情のことを「エラー」と称しましたが、確実に長門が感情を発達させている証拠にはなります)

そしてそこから自律進化の糸口を探すことが思念体の本当の目的なのでしょう。

思念体自身では絶対にできませんが、コンタクト用ヒューマノイドインターフェースとしてならば可能でしょう。

典型的なSF作品ではよくあることですがロボットが感情を得て、成長していくという流れを谷川流氏はこの作品にも取り入れたのではないのでしょうか?

長門をロボット呼ばわりしたくはありませんが便宜上こう書きました)

 

現状、長門の感情の起伏はそれほどだいたんではありませんが、最終的に涙を流すくらいの感情を得て欲しいものです。

(そこに「雪が解けた」というようなセリフを添えたいものです…)