精神病の「治療」
先日、偶然にもメンタルヘルスの事業に携わっている方にお話を伺える機会がありました。
なんでも現在東京大学の教壇に立って教えられてもいるそうで…。
以下はそれについての内容と所感についてです。
いきなりですが、WHOの調査によると、自殺者数は年間80万人ほどだそうです。この数値はマラリアによる死亡者数(≒40万人)よりも、経産婦死亡者数(≒20万人)よりもはるかに多いんです。
さらに、現在の若い女性の死亡者数は、戦争よりも、他殺よりも、自殺が最も多いそうです。(他人よりも自分の方が殺すのに抵抗がないってことですよね…)
もちろんマラリアや経産婦に対する対策手段は国連において何十年も議論されています。
それでは「自殺」についてはどうでしょう。
全く議論されてきませんでした。
これほど多くの死亡者数を出しているのにも関わらず問題として議題に挙がらなかったのです。
自殺をするということは精神的に何か問題を抱えているはずです。
言葉は悪いかもしれませんが、これは列記とした病気なんです。
しかし精神病には特効薬はありません。
インフルエンザや食中毒のようになにか目に見える形で原因が浮上することはありませんから。
これがとても厄介なんです。
治療しようとも、治療する決定的な術がありません。
だから、病を悪化させ、終いには死に至る。
そこで我々ができることは精神病に対する理解を深め、その理解を他者にも押し広げていくことしかありません。
本当に地道な作業となりますが、こうするほかないんです。
そうすることで、精神病を患っている方が生活していても忌避の眼、好奇の眼を向ける人間のいない世界を創り出すしかないんです。
正直、個人的に現在の世の中はとても恐ろしいです。
精神病の方が電車の中で突発的に暴れてしまったり、公道で異常行動をしていた場合、その一連の行為を持っているスマホで撮影して、ネットに拡散させることが誰にでもできる。
さらに、それを見て笑う人間がいる。
これがとても怖い。
「監視社会」に似ていて、それ以上に気味が悪いです。
手足のない人に対しては「かわいそうに…。手助けしてあげなきゃ」なんて考えるのに、脳が少し欠けている人に対してはなんの配慮もない。
「近づきたくない」、「気持ち悪い」、「面白い」とか思ってばかり。
現在の社会は、精神病患者に対する理解度が浅い社会なんです。
普通の(原因が明確な)病気であれば、その原因を治療すればいいだけなんです。(それだって複雑で難しい場合もありますが…)
しかし、精神病は違う。現在明確な治療手段がありません。
疾患者の治療はできない。
だから逆に世の中の健常者の思考を「治す」しかありません。
優先治療対象が全く異なるんです。
精神病患者に対する有効な治療法が存在しない。
だから第一に世の中の健常者の異常な思考を「治療」し、精神病に対する理解深めさせ、精神病患者が生活しやすい世界にする。
それこそが精神病患者にとって一番の薬となります。
私は精神病患者が風邪やインフルエンザのように自ら病気であると告白しても誰も忌避しない、面白がらない、そんな社会がいつか訪れることを願ってやみません。
なので私も何らかの形でそういう事業の手伝いができたら…なんて漠然と考えていたりします。
(私の友人にも一人精神を病んでいる友人がいますが、彼は両親からの理解が得られなくとても苦労しています。そんな現実を目の当たりにしているせいか、この精神病を取り巻く課題は個人的に考えざるをえません)