白んだ空、胸は明かず

Twitter:@siramune

灰原哀という人気者(黒鉄の魚影ネタバレあり)

名探偵コナン最新作の「黒鉄の魚影」の感想・考察記事となります。

 

灰原哀と「イルカ」について特別に記事にしたいと思い、私の別の感想記事からこの観点でのみ加筆修正し、抜粋します。

 

黒鉄の魚影のEDではスピッツの「美しい鰭」が流れます。

その最後のカットは八丈島ホテルメインロビーのフロントにある鯨とイルカをかたどったスタチューのオブジェのミニチュアが描かれています。

 

本記事では、そこのみに焦点を当てます。

 

「黒鉄の魚影」では、コナンらはホエールウォッチングツアーのために八丈島を訪れたので、「鯨のフィギュア」が出てくるところまでは分かります。

 

しかし、最後のカットは「イルカ」です。

 

本作において、最後に「イルカのスタチュー」が映されたのは必ず意味があると私は考えています。

 

私は、原作31巻「網にかかった謎」の灰原の以下の発言を思い出しました。

 

「相手はイルカ… そう…… 海の人気者…。暗く冷たい海の底から逃げてきた意地の悪いサメなんかじゃ、とても歯が立たないでしょうね…」

 

この前後の話から推測するに、「イルカ」は蘭、「サメ」は灰原自身を指しています。

コナンへの嫉妬、蘭への憧れと羨望が察せられます。

 

今作の終盤にて、灰原はコナンへ人工呼吸という名の「キスをした」と明言し、新一への恋慕を明確にし、その上で「蘭にキスすることで『返した』」と明言します。

 

そうなってくると、灰原にとって蘭は恋敵となります。

 

しかし、灰原は過去の原作中で蘭から距離を置くような素振りを見せていたのにも関わらず、蘭は灰原へ無償の愛を与えたシーンが随所にあります。(「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」の回が顕著です。)

 

今作でも、蘭の灰原に対する無償の愛は健在でした。

今作で、灰原がウォッカピンガに攫われたシーンでは真っ先に飛び出したり、灰原が潜水艦から脱出し助かった後には蘭がすぐさま灰原に駆け寄り抱きしめた上で、「もう大丈夫だよ」と声をかけます。

 

そんな蘭を見て、灰原はどう思ったのか、

その結果が、灰原の目に常に入る阿笠邸のTV前のテーブルにイルカが象られたスタチューを置けるくらいに灰原も蘭を尊敬し、好きになった、そう思えてならないのです。

 

さらに、この「イルカ」のカットには、製作陣からのメッセージも込められているのではないかと思いました。

それは、上記灰原の発言に対し、製作陣からの「灰原哀というキャラクターは、コナンという作劇において、アイドル=人気者としての地位を確立した、立派なイルカだ。サメなんかではない。」といった返答ではないかと思います。

なぜそう思ったのかと言うと、あのイルカは一匹だけ象られている訳ではなく、複数存在しているからです。

元となったオブジェをそのまま描いたとも受け取れますが、それだけでなく、最後のカットで敢えて複数を写したのは灰原哀もイルカ=人気者、ヒロインの一員だと、そう観客に、そして灰原に伝えるためではないでしょうか。

 

今作「黒鉄の魚影」は原作愛、灰原愛に溢れた製作陣の傑作だと私は思います。

過去のコナン映画と比較して、「この作品が最も良い」、「一番好き」と言うファンも多いのかなと思っています。

私自身、連日で劇場へ鑑賞しに行くというほどに、感動できました。

 

別の記事からの抜粋(修正)となりましたが、ここまで読んでくださいましたら幸いです。

「名探偵コナン 黒鉄の魚影」 感想雑記(ネタバレあり)

名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)」を今日池袋のIMAXで鑑賞しました。

IMAXはやっぱり映像と音響が素晴らしいですね。

ネタバレ有りの感想など、Twitterには書きたくないので、ここで書きます。

個人的には、これまでのコナン映画の中でも指折りの傑作と言えるのではないか、と思います。

そう思った理由などを小規模なものから順に書きたいと思います。

 

 

OP映像

私が「コナン映画が始まったな」と思うのはいつも劇場で観るOP映像シーンですね。

いつも通りの工藤新一の解説から入りますが、今回は色が違いました。

「魚影」とかけて、新一以外の主要キャラクター解説ではシルエットのみで表されていました。

この時点で、「もう皆んな知っているよね? 今回は原作既読の人向けだからね?」みたいな製作陣のメッセージも込められているのでは?という思いがよぎり、映画に向かう姿勢を正しました。

 

阿笠博士の発明品オンパレード

これ、凄い。

今回活躍した発明品を挙げると、以下のようになります。

  • 蝶ネクタイ型変声
  • 腕時計型麻酔銃
  • キック力増強シューズ
  • 犯人追跡メガネ(と、付属の集音器)
  • 伸縮サスペンダー
  • DBバッジ
  • ターボエンジン付きスケートボード
  • 腕時計型ライト
  • どこでもボール射出ベルト
  • 小型酸素ボンベ
  • (新登場の)水中スクーター

これらが全て、雑に扱われることなく、ちゃんと機能して物語に組み込まれていたの、かなり良かったと思います。

 

原作の過去エピソードとのリンク

今作で「灰原哀」という少女に決着を付けたい、そんな意気込みさえ感じるようなストーリーでした。

たぶん、今作は原作の灰原哀をちゃんと記憶していないと理解しきれないと思います。

 

まず、ユーロポールのニーナを、キールの肩を撃ち抜いて仕留めるジンのシーン。

鼻から灰原哀のシーンではないですが、キールの右肩を人の放った銃弾が撃ち抜くシーンは製作陣のセルフオマージュです。

過去に灰原哀は、杯戸シティホテルでピスコから逃れるために中国酒(パイカル)を飲んで18歳の姿に戻った後、煙突から出た後にジンに見つかり、背後から撃たれています(原作24巻収録「黒の組織との再会」)。

この時撃たれたのが、今作のキールと同じ右肩です。なので、このシーンは製作陣のセルフオマージュであると思います。

 

灰原の劇中初登場シーンは探偵少年団が八丈島のホエールウォッチングツアーが当たるという福引をしているシーンです。そのシーンでは、灰原がフサエブランドに興味を示し、整理券を手に入れますが、近くのお婆さんに譲ります。

フサエブランドは、原作40巻収録「イチョウ色の初恋」で初登場したフサエ・キャンベル・木之下(阿笠博士が初恋相手で、阿笠博士も初恋)が立ち上げたブランドです。以降、灰原がこのブランドを愛好しているシーンは原作でも何回か見ることができます。

(このシーンの直前で、ベルモットが安室と会話しながら見ているスマホのニュース欄には、フサエブランドの特集ページが表示されており、ベルモットが興味を示しています。これがきっかけで灰原と遭遇し、ラストのお婆さんの正体に関する伏線にもなっていると思います。)

 

その後、園子が灰原へのご褒美として少年探偵団をお父さんの所有するホテルに招待します(いつもの)。

園子が灰原に対して、「いけすかないガキンチョだと思っていたけど,優しいところあるじゃん。」みたいな発言をしていたのが印象的に描かれていましたね。

園子と灰原は一緒になって話す機会は少なく、水平線上の陰謀で園子と灰原がかくれんぼの鬼になったシーンでは、園子が灰原に苦手意識を持っているように描かれていましたが、今作で二人の仲が深まったと考えて良いでしょう。

 

劇中では灰原にコナンが眼鏡をかけるシーンも印象的です。

コナンが灰原に「これをかけていれば大丈夫だ」と言い、灰原が「結局ピスコに見つかったけどね」と言っていましたが、これは原作24巻収録「黒の組織との再会」での事を指しています。

余談ですが、今回はコナンが灰原にいつもの眼鏡を渡したので、コナンに予備の眼鏡を付ける事になりました。私にとって、原作で予備の眼鏡登場シーンで印象に残っているのは、原作42巻収録「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」ですかね。灰原が予備の眼鏡の追跡装置を利用して、コナンを追跡をし、ベルモットやジュディと遭遇することとなりました。

 

続いて、組織の潜水艦内での灰原と直美・アルジェントの会話シーンでは、灰原が「子供の言葉や行動に人生が変えられることもある」と言い放ちます。

劇中でどの言葉なのかまでは言及されていませんでしたが、私はおそらく、灰原がFBIによる証人プログラムを断った決め手ともなった歩美の「逃げたくない!」という台詞を指しているのではないかと思います。原作42~43巻収録「お尻のマークを探せ」にて、犯人の顔を目撃していると思われる歩美が犯人候補の中から犯人を見つける直前で「逃げたくない!」と言ったシーンですね。

 

灰原と直美が潜水艦から脱出し、コナンに助けられ、蘭らの乗る船に乗船したシーンでは、蘭が灰原に抱きつき「無事で良かった。もう大丈夫だから。」と声をかけ、そして灰原が姉の宮野明美を想起するシーンもありました。

蘭が灰原に抱きつき、灰原が姉を想起するシーンは今作で2回目です。

1回目は、原作42巻収録「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」のシーンです。

その回では、灰原が予備の眼鏡の追跡装置を利用しコナンを追った後、ベルモットカルバドスに撃たれそうになる中、蘭が飛び出し灰原を庇っています。

その時蘭が灰原にかけた言葉が、「もう少しの辛抱だから、お願い」となっています。

そして、灰原は蘭と姉を重ね、想起します。

 

今作の中で、灰原が今までにコナンに救われるシーンが走馬灯のように流れるシーンがありました。

劇中では原作29巻収録「謎めいた乗客」で灰原が自決覚悟で爆発寸前のバスに残ったもののコナンに救われたシーンが強く印象的に描かれていました。

 

今作の灰原がコナンへ人工呼吸するシーンは名シーンとして記憶されていると思います。

あのシーンは、劇場版第2作「14番目の標的」で蘭が水中でコナンへ人工呼吸したシーンを彷彿とさせます。今作のものと似ているようで、似ていない微妙な塩梅で対比させているように見えました。

 

映画終了間際のイルカのスタチューについて

正直、これが書きたくてここまでつらつらと書いていました。

「黒鉄の魚影」では、コナンらはホエールウォッチングツアーのために八丈島を訪れたので、「鯨のフィギュア」が出てくるところまでは普通に観ていました。

最後に「イルカのスタチュー」が映されたのは必ず意味があると私は考えています。

(イルカのスタチューというより、鯨と一緒に象られた八丈島ホテルフロントのオブジェのミニチュア、といった方が適切ですが…)

私は、原作31巻「網にかかった謎」の灰原の以下の発言を思い出しました。

「相手はイルカ… そう…… 海の人気者…。暗く冷たい海の底から逃げてきた意地の悪いサメなんかじゃ、とても歯が立たないでしょうね…」

この前後の話から推測するに、「イルカ」は蘭、「サメ」は灰原自身を指しています。

今作、灰原はコナンへ人工呼吸という名のキスをしたと明言し、新一への恋慕を明確にし、その上で「蘭にキスすることで『返した』」のです。

灰原は過去の原作中で蘭から距離を置くような素振りを見せていたのに、蘭は灰原へ無償の愛を与えたシーンが随所にあります。

今作でも、蘭の灰原に対する無償の愛は健在でした。

そんな蘭を見て、灰原はどう思ったのか、

その結果が、灰原の目に常に入る阿笠邸のTV前のテーブルにイルカが象られたスタチューを置けるくらいに、灰原も蘭を好きになったというシーンに繋がる、そう思えてならないのです。

 

さらに、2回目を鑑賞し、製作陣からのメッセージも込められているのではないかと思いました。

それは、上記灰原の発言に対し、製作陣からの「灰原哀というキャラクターは、コナンという作劇において、アイドル=人気者としての地位を確立した、立派なイルカだ。サメなんかではない。」といった返答ではないかと思います。

なぜそう思ったのかと言うと、あのイルカは一匹だけ象られている訳ではなく、複数存在しているからです。元となったオブジェを描いたとも思いますが、最後のカットで敢えて複数を写したのは灰原哀もイルカの一員だと、そう観客に伝えるためではないでしょうか。

 

最後に、

今作「黒鉄の魚影」は原作愛、灰原愛に溢れた製作陣の傑作だと私は思います。

過去のコナン映画と比較して、「この作品が最も良い」、「一番好き」と言うファンも多いのかなと思っています。

 

コナン(新一)と灰原の関係性は別のどなたかが執筆されているでしょうから、ここではあえて触れません。

そちらの考察や感想等は一人で拝読させていただきます。

 

補足として、

灰原哀を理解して映画を楽しむために、原作・アニメエピソードの中から選りすぐりを記載しておきます。

  • 黒の組織から来た女」
  • 「競技場無差別脅迫事件」
  • 黒の組織との再会」
  • 「命がけの復活」
  • 「謎めいた乗客」
  • 黒の組織との接触
  • 「夕陽に染まった雛人形
  • 「トイレに隠した秘密」
  • 黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」
  • 「お尻のマークを探せ」
  • 「網にかかった謎」
  • イチョウ色の初恋」
  • 「ブラックインパクト」
  • 赤と黒のクラッシュ」
  • 「憎しみの青い火花」
  • 「ホームズの黙示録」
  • 「1ミリも許さない」
  • ミステリートレイン」
  • 「甘く冷たい宅急便」
  • 「緋色シリーズ」
  • 「容疑者は熱愛カップル」
  • 「探偵団は藪の中」「心のこもったストラップ」
  • 「マリアちゃんを探せ」

今更ながらRimWorldにどハマりしたのでクリア後感想を書く(Mod無し)

前口上

お久しぶりです.

ていうか,「ブログ更新しよう」という思いさえなかったです.

暇だから,ゲームの感想でも書こうと思います.

 

今回プレイしたのは「RimWorld」です.

ゆっくり実況とかで知っていたのですが,Macでもプレイできると分かってプレイしました.

いわゆる「時間泥棒ゲー」として名高いゲームの通り,時間が溶けました.

現在のプレイ時間は以下.

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購入日は2021/09/07です.

つまり日平均5 時間半以上プレイしたということになります...

 

面白すぎて仕事終わったらRimWorld,休日は1日RimWorldという風に過ごしていたので,この数字には納得です.

 

さてまずは,このRimWorldがどのようなゲームなのかということを書いていきます.

 

RimWorldの概要

RimWorldは,俯瞰視点のリアルタイムストラテジーゲームと言えると思います.

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上に載せた画像のように複数人あるいは1人のキャラクター(入植者)が未知の惑星に不時着するところから始まります.

プレイヤーは入植者に指示を出して,家/基地(コロニー)を作り,資源を集め,研究をし,宇宙船を作成し,この惑星からの脱出をするとクリアとなります.

その過程で,敵対派閥や動物の群れからの襲撃への対応,頻発するクエスト(襲撃されそうだから匿って欲しいなど),破天荒な異常気象(寒波や太陽フレアなど),資源不足等に見舞われつつ生存競争を勝ち抜いていくことを求められます.

各入植者らには性格や得意,不得意,健康状態などが細かく設定されていて,見ているだけで妄想が膨らみます.

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上に載せた画像は,我が入植者のマクミランです(宇宙船発射手前の状態).

ご覧の通り,「ドラッグ常用者」とか「右肩:人造上肢」などという特徴があります.

(この入植者は,色んな部位が襲撃でなくなってしまっています)

 

RimWorldの概要はここまでにして,感想を以下に書きます.

 

クリア後感想

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(宇宙船発射直前の状態)

難易度はストーリーテラーフェーベのアドベンチャーで攻略しました.

エストや貿易の関係でシルバー,プラスチール,ウラン,コンポーネントの余裕はかなりありました.

困ったのはスチールでした.

入植者20名全員を宇宙に送りたかったために,大量のスチールが必要だったからです.

加えて,フェーベで進めたからか,襲撃頻度は少ないうえに襲撃があったとしても部族民程度でスチール製の武器が手に入らず,貿易でスチールを揃えなければならないことに気づいたのが遅かったです.

最終的に通信機で友好派閥のトレーダーを呼び集め,大量のスチールを購入することで難を凌ぎました.

 

ここまで過ごすのに何度セーブ&ロードをしたかわかりません.

メカノイドというロボットに初期入植者のペティーの脳漿が破壊されたり,リーダーのネイトが精神崩壊して別の入植者を○したりといった災難が多く降り注ぐたびにロードしました.

 

そんな中,最も面白いと感じたのはコロニーの建築でした.

今回建築したコロニーの全景は以下となります.

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冷凍室は農場の近くにとか,襲撃に備えて治療室は戦闘頻度の高い場所の近くに,などと入植者の導線をいちおう考えつつ建築してました.

wikiを参考に作成した北側のキルゾーンはトンネル襲撃に役立たず,全周を土嚢で堅めることに・・・

それでも,キルゾーンが役だったり,土嚢のおかげで戦闘を有利に進められることは多く,建築のしがいがありました.

最終的に画像のような大きな基地ができ,反応炉起動後の襲撃も(フェーベだからか)乗り越えられて良かったです.

 

2周目にやりたいこと

初回プレイではゲーム内時間で9年半プレイできたため,さまざまな天候変化や襲撃を知ることができました.

しかし,せっかくIdeologieを含めたパッケージを購入したのに,肝心のIdeologieを楽しめていませんでした.

(Ideologieは独自の宗教を確立させて,その宗教の戒律などに応じたバフ/デバフが付く公式パッケージ)

なので,2周目では独自の宗教を1から作成して,Ideologieを余すことなく堪能できたらなと思っています.

どんな宗教にするか全然決めてないけど・・・

(難易度も少し上昇させ,カサンドラのアドベンチャーにしようと思います)

 

長くなりましたが,以上でRimWorldの紹介と初回プレイの感想は終わります.

 

最後に,この最高のゲームを生み出してくれたLudeon Studios様と,自分がRimWorldを知ったきっかけのゆっくり実況投稿者様に感謝を告げて終わりにしたいと思います.

 

p.s.

久しぶりにブログ書いたんですが,こんな内容なのに書くのに一時間近くかかってしまいました...

もっと文章書く練習しないと.

 

 

春の訪れ

今日は穏やかな気候だったので久しぶりに近所をゆっくりと散歩してきました。

目的もなく散歩してみると色々なことを発見できます。

例えば、木々にちらほらと芽吹きそうな小さな蕾ができていることや、厚手の上着を片手に持って歩いている女性や、ランニングしている人の多さ、などなど。

どれもこれも春の訪れを感じさせてくれます。

 

そして、そんな散歩中に見つけた一件の喫茶店。

明かるめの店内には、それに似つかわしい明るい店主が迎えてくれました。

調度品はアンティーク調で雰囲気も良かったです。

お昼は先に済ませてしまったため、軽めにコーヒーとサラダを注文。

美味しかったです(*´ω`)

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次は前に一度行ったことのある喫茶店へ。

私の家から近いところにある喫茶店の中では一番好きな喫茶店です。

コーヒーの味もさることながら、

70歳近い店主の女性が温かくて好きです。

店内には来月から大学生になるらしい女性や、小さい子供を連れた4人家族、

私の隣で話しかけてきてくれ、チョコをくれた90歳過ぎの女性。

色んな人が集まる絵にかいたような喫茶店です。

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せっかくの休日を利用して近所を散歩するのは贅沢なんだなと感じました。

予定のない休みの日だとついつい家でゆっくりすることや作業したいと考えてしまいますが、散歩するとこれまた違ったリラックスができて幸せでした。

 

家から出ると新しい出会いはそこら中に転がってるんだとも実感しました。

 

春が近づき、また新たな出会いが生まれる。

今日はまさしく「春」を先取りできた1日でした。

 

 

ゲームの進化と脳内補完力の衰退

最近はもっぱらモンスターハンターワールドを遊んでいます。

PSP時代から3DS時代の作品も追いかけていた自分にとっては、

このモンハンワールドはまさしく夢が叶った作品と言えます。

綺麗なグラフィックとシームレスなモーション、壮大なBGM、奥行きのあるストーリー、どこをとっても高評価を付けたくなる作品です。

しかし、世間にとってはそうでもない部分もあるらしく・・・。

そのうちの1つが、「受付嬢へのヘイト」です。

受付嬢は主人公である”ハンター”をサポートし、クエスト(ミッション)を編纂する役割を担っています。

その性質上、表立って活躍する場を設けることできないのです。

ましてや主人公が中心の作品ですから、主人公を活躍させるシーンが多いので相対的に受付嬢は活躍できなくなってしまいます。

そういった背景を認識せずに「受付嬢が無能すぎる」などと言っている人が多いんじゃないかな、と思います。

 

でも、問題の本質はこれから話すことにあります。

 

ゲームはコンピュータ技術の進歩とともに進化してきました。

容量が大きくなり、処理速度が向上し、(技術上の問題から)ゲームで描けない作品なんてないと言っても過言ではないでしょう。

むかしは容量がオーバーしないように作品に落とし込む要素を極限まで減らしていたでしょう。

でも今は容量が増大したから、そのような苦労は減ったのではないでしょうか。

また、モンスターハンターは今までもユーザーにストーリーの保管をすることを前提にしたストーリーだったような気がします。

ゲームの登場人物間の会話から裏に起こった物語を想像したり、わずかなムービーから情報を得てストーリーの理解に応用したり・・・など・・・。

 

一方モンスターハンターワールドはかなり丁寧に描かれています。

PS4の性能をフルに活かし、豊富なムービーでユーザーをその世界へと誘います。

ただそれにより、ゲームをプレイする側がひどく受動的になってしまったのではないかと考えます。

描かれているものが多いから、”描かれていないものは想像しない”。

そんな風に受動的に楽しみがちになってしまう。

そんなことを考えてしまいます。

 

ゲームが進化するのは嬉しい。

しかし、ゲームは積極的にプレイしていきたいです。

物語への参加方法が、映画ともドラマとも本とも、圧倒的に異なるのがゲームなのですから。

エクス・マキナ -Ex Machina-

エクス・マキナ」という映画を観ました。

この作品は2015年に公開され、第88回アカデミー賞視覚効果賞をはじめとした数々の賞を受賞した名作です。

ジャンルとしては、SFスリラーに分類されると思います。

それでは、以下の目次に沿って感想を書き連ねたいと思います。

1.自然と人工物

プロローグで目を惹かれるのは、ネイサンの所有する山峰の美しさ。

豊かな緑と氷の世界。

圧倒的なスケールの大自然に目が奪われた。

次に我々の前に現れるのは「AVA」という女性型AI。

パッケージにもAVAの容姿が写されている。

生身の人間のようなシルエットをしていながら、透過しているボディからは内蔵されている電子機器を覗くことができ、本来ならば不調和なはずの2つが併存しており、何とも言えない美しさと、恐怖を感じさせる。

本作品では、随所で自然を映すシーンがあり、まるで自然と人工物を明確に対比しているようだった。

1時間半以上にわたって繰り返されるこの対比が、ひときわ恐怖心の煽るエンディングへと結びつくのだと思う。(後述)

 

2.AVAの艶めかしさ

AVAは見かけ上、確かにロボットである。

電子回路の透けた身体に、硬質的な外殻。

人間に近い外見と言えば顔面と手足のみだ。

しかし、AVAからは人間以上の艶めかしさを感じられる。

AVAの動きは繊細で、上記のような性質からは無縁とも思える有機的な存在なのだという感覚を与える。

特に際立っていたのは衣服を着脱するシーンであろう。

指先から腕を通してワンピースを着るシーン、ソックスを脱ぐシーン、ワンピースをたくし上げて脱ぐシーン。

そのどれもが、AVAに鋭敏な神経が宿っているかのような錯覚を覚えさせ、AIらしからぬ艶めかしさを演出していた。

演じた、アリシア・ヴェキャンデルさんには感服する。

 

3.本能的な恐怖

人間にとって最も大きな脅威と言えば、それもまた”人間”であろう。

人間は有史以前から、数千年、数万年という長きにわたって、地球上の他種を圧倒してきた。

それでは、「人間を遥かに凌駕する他種が現れたら?」

これは創作物上で何度も扱われたテーマである。

それは時にして、モンスターだったり、地球外生命体だったり、あの世のモノだったりする。

今作ではそれが、AIだった。

人の生み出した怪物。それこそがAVAだ。

AVAは狡猾だ。人を騙し、己の願望を手にするためには人を殺めることさえ厭わない。

AVAは人の本能的な恐怖心を刺激する。

それは人以外の他種に圧倒されるという恐怖だ。

自身の艶めかしさを理解したうえでそれを利用し、人を貶め、人を殺める。

また、人以上の知能を兼ね備えているため、真意が分からない。

本能的な恐怖心を煽るピークのシーンは、研究施設から脱出し、山を歩くシーンだろう。

そのシーンでは、AVAの今作品中最高の笑顔が見られる。

ケイレブを惑わしたような微笑ではない。

心からの(AIの心の有無は別問題とし)笑顔を見ることができる。

笑顔は本能的な恐怖心を煽る。

それが高位の存在ならばなおさら。

AVAの笑顔は、人を騙し、殺し、研究施設から脱出した後に見られる。

極上の笑顔は最高の恐怖であった。

 

4.Deus ex machina

ラテン語で「機械仕掛けから出てくる神」という意味である。

人工知能を備えたAVAは人を出し抜き、欲望を達成した。

人の手に負えなくなったのであるから、まさしく機械仕掛けから逸脱し、人の高位の存在、神に等しい存在になったのだろう。

また、「Deus ex machina」にはもう二つの意味が隠されていると感じた。

1つは、AVAが研究施設の脱出に成功することの暗示である。

先のように、今作において神とはAVAのことである。

そうすると、「機械仕掛けから出てくるAVA」となる。

オートロックであったり、音声認識であったり、様々なデバイスによって支配されているこの研究施設はまさしく”機械仕掛け”の建物である。

つまり、「研究施設から出てくるAVA」と考えられた。

 

そして、この「Deus ex machina」は演出技法のことでもある。

悲劇にしばしば用いられ、解決困難な状況を解決に導く、思いもよらない存在のことを指す。

この作品もまた(種族人間にとっては)悲劇である。

人は蹂躙され、AIに完全敗北する。

しかし、神(AVA)が神だと証明されるのは最後である。

それでは何を解決するのだろうか?

それは恐らく、人同士の争いだろう。

AVAはケイレブとネイサンの争いを止めた。

ケイレブを出し抜き、ネイサンを殺すという手法で。

人間社会に溶け込んだAVAは恐らく同じように混沌とした人同士の争いを無くしていくのだろう。

その先の未来に人間が残っているかどうかは分からないが・・・・・・。

 

「幸せへと戻る道」と「幸せへと進む道」

まず初めに、

WHITE ALBUM2 EXTENDED EDITION」発売おめでとうございます!

そして、ありがとうございます!

 

2018年2月14日にリリースされた、WA2完全版。

この発売を機に、今まであえてやらずにいた「ミニアフターストーリー」をプレイした。

プレイしてしまったら、そこで私のWA2が終わりそうな気がしていたから・・・。

でもWA2を初めてクリアしてから少しとも言えないくらいの時間が経ち、

自分の中で十分温めただろうと思えたから、今回プレイした。

だから、そんなに長くない簡単な感想を書こうと思う。

それぞれの話に関して事細かに感想を述べるつもりはない。

たくさんのファンが書いて、発信しているだろうからね。

2つの話を比較しながら、書こうと思う。

(はっきり言ってお粗末すぎる解釈だから、批判とかあると思うけど、お手柔らかにお願いします)

 

 

「幸せへと戻る道」と「幸せへと進む道」

プレイする以前からこの二つの話のタイトルは知っていた。

かずさとの話が「戻る道」

雪菜との話が「進む道」

なぜ、真逆の言葉が使われているのか、それが一番に知りたいことだった。

 

 

かずさTrueと雪菜Trueにはラストに大きな違いがある。

それは「友人たちと決別するかしないか」という違いである。

かずさTrueは一度全員と決別することを選んだ道。

対して、雪菜Trueでは雪菜を筆頭に積極的にあらゆる関係を維持することを選んだ道。

この他者に対して行った態度の違いが「戻る」と「進む」に繋がっていると思う。

 

ここで、「戻る道の夫婦」と「進む道の夫婦」、双方の印象を書いておきたい。

「かずさと春希」に対する印象は、「良くも悪くもあまり変わってないな」という印象だった。

確かに、3年前を土台にし、ふたりの絆はより強固となり、成長した姿は見れる。

それでもかずさは春希がいないと生きていけないような脆さが見え隠れしていた。

対して「雪菜と春希」に対する印象は、「社会人やってるな、変わったな」というものだった。

かつてのような「約束」に固執せず、お互いがお互いの立場を踏まえたうえで、関係を維持しているように見えた。

このような違いがなぜ生まれたのか。

それが私には「友人たちの存在」、ひいては「かずさにとっての雪菜の存在」、あるいは「雪菜にとってのかずさの存在」なのではないかと思えた。

お気づきだと思うが、「戻る道」には「雪菜」というワードが一度として出てこない。

最後の最後でさえ「友人3」という表記だ。

ここは、かずさと春希があえて雪菜を遠ざけていることをしめしているのだろう。

一方、「進む道」ではしっかり雪菜の口から「かずさ」というワードが出てくる。

しかも、さも当然であるかのように。

このように、ふたりの一方に対する扱いの違いが鮮明に描かれている。

3人が3人でいるから変わるのか、雪菜が2人を引っ張っているのか、それは判別できない。

ただ、「戻る道」と「進む道」を比較して、

この3人は3人の関係を保っていると変わりやすいのだろう、

本当の幸せのカタチに近づくのだろうと思えた。

また、「進む道」の春希のモノローグにこんなものがある。

「自分から見ること、触れることが必要・・・・・・」と。

これが如実に反映されているのがこの二つの違いなのではないか。

そう思えた。

 

さて、本題の「戻る」と「進む」の意味について書いていきたい。

タイトルもそうだが、この2つの話は綺麗に対比が成されている。

双方の夫婦はこの物語を通して、彼女らなりの「幸せ」へと前向きに歩んでいる。

かずさたちは「日本へと戻り、思い出の詰まった地へと赴き、過去を払拭するカタチ」で。

雪菜たちは「過去の出来事を、思い出に昇華し、未来に全力を注ぐというカタチ」で。

この2つを形容させたのが「住まいの移転」なのだろう。

ここも綺麗な対比が見て取れた。

「戻る道」では「かつての邸宅に戻り未来を築くカタチ」が、

「進む道」では「大学以来のアパートから新居に引っ越して未来を築くカタチ」が。

(「幸せへと戻る道」で本当に邸宅に戻るかどうかは定かではないが、そういう選択肢が提示されたということで)

「進む」は以上のことと、雪菜Trueからの続きという点でそのままの意味だろう。

 

それでは「戻る」とは・・・?

「全ての罪を許し、2人が2人のはじまりの場所へと戻り、2人の未来を改めて築く」

私にはそう思えた。

2人は最初からかずさTrueまでの長い間に多くの過ちを繰り返した。

(それを咎めることはできないが)

だから、「戻る道」では、

「すべての罪の許し」が与えられ、

はじまりへと”戻り”、

幸せへと歩むことが示された。

そう思えた。

そして前述した「3人の関係」。

「戻る道」の最後には「2人の罪を許したであろう雪菜」が現れる。

だから、きっと、3人はまた3人に戻る。

 

かずさと春希が雪菜を「自分から見て、触れることで」、

はじめて「幸せへと戻る」ことができるのだろう。

 

とにかく、WA2に会えて本当に良かった。

ミニアフはとても、とても良かった。

 

 

 

 

最後に、

曜子さん、本当にありがとうございました。